水草とは
陸上で根を張り、茎を伸ばし、葉を茂らせ、花を咲かせるという過程を経て繁殖する植物とは異なり、水中や水面などに繁殖の場を求める植物が水草です。ですが水草本体の全てが水中に於いてのみ存在するとは限らず、花は水面よりも上で咲かせるといった種類のほうが多いものです。水草の多くは軟弱で浮力により水中にてその形態を維持しています、陸上の植物のように自立したものは少ないです。そのため、外圧により損傷を受け易いのですが、それ即ち植物としての弱さではありません、回復力に富む種類が多く、ひいては旺盛な繁殖力へと繋がります。養分を吸収し光合成が必要な点は陸上の植物と同じです。また、この場で言う水草とは観賞用で淡水域で繁殖するものを指し、海草や海藻といった海水域のものとは区別します。
水草を始める初心者の基本
近年、庭やプランターでの植物栽培ではなく、水槽を準備し小石を並べるなどして水を張り、そこへ水草を植えて箱庭のような感じで緑を楽しむ人が増えてきました、その水の箱庭をアクアリウムと呼びます。森の木々の間を鳥が飛ぶかの如く水草の間に好きな小魚を泳がせたり、淡水性のエビを散歩させてみたり、その楽しみかたは様々でアクアリウムの歴史はそれほど長いものではありませんが既に奥深いものがあります。美しいアクアリウムは無造作に水草や魚を投げ入れて放っておけば出来上がるものではありません、最低限の手間をかけることにより誕生するのです、あたかも大自然の一部を切り取ってきたかのような環境を自宅の部屋に再現するのですから、その切り取った前後を手間で補ってあげなくてはならないのです。
水草の初心者が始める前に必要な基礎知識
始めるに当たっては知っておかなくてはならない注意点や基本知識などがいろいろあるのですが、どれも決して難しいことではありません。水草も植物なので庭の草木と同じように必要なものが揃わないと育つことができません、まずは空間の代わりとなる水、根や葉から吸収する養分、それと光合成に不可欠な光と二酸化炭素です。これらがバランス良く揃わないと水草は育たないばかりか枯れてしまうこともあります。アクアリウムの維持という点から言える基礎知識としては整理上手になる方法、トラブルを避ける方法、トラブルから回復させる方法の3点です。美しさについては管理者の幼いころから培った審美眼によります、個性で演出を存分に楽しんでください。
水草を始める際に必要なもの
まず必要になるのは水槽とそれを乗せる台、そして間に挟むマットです。初心者のうちは幅が60cmの入手し易く廉価なガラスの水槽が基本的でおすすめです、台は堅牢さの点から水槽専用のものにします、マットは台との直接干渉で水槽が破損しないよう必要です。次に照明、水温に影響するので直射日光に頼ってはいけません、照明器具は従来からの蛍光灯タイプに加えLEDタイプもあります、消費電力や価格などの他に光色の好みもありますので店頭で確認したほうが良いでしょう。フィルターは様々な濾過と設置方式があり性能だけでなく見た目にも大きく影響しますので店員さんのアドバイスを受けながら決めたほうが良いでしょう。あとは水槽内を飾る小石や砂に冬用のヒーター、他はトリミング用のハサミ、ネット、ピンセットなどがあれば便利です。
水草の初心者が簡単に始める方法・手順
始める前に完成したアクアリウムを思い描きます、しっかりとイメージをしておくことが必要です。それから水槽の準備です、水槽本体と飾りとなる石や砂、そして水草そのものを流水で洗います、洗剤は決して使いません、水草は切れ易いので優しく扱いましょう。石はしっかりとこすり、砂は米を研ぐように何度もすすぎます、石や流木などの飾りはショップでの購入をおすすめします。砂や石などで水槽の底を固めたらイメージした通りに水草を植えます、カルキを抜いた水をそっと水槽がいっぱいになるまで注水すれば最低限の準備は完了です。フィルター運転を開始し水を循環させ、その状態で3日ほど様子を見るのです、特に怪しい生き物が紛れ込んでいないかを注意する期間でもあります。
水草の初心者が上達するためのコツ
上達のコツは良い状態を維持する能力だと言えます、これは逆に不都合を見極める能力でもあります、悪い点を的確に発見できるということは迅速に対処できるということです、不都合は小さなうちに片付けてしまいましょう。たとえば水草が思うように育たなかったり、水の濁りがなかなか取れなかったり、コケに悩まされたりといった点は誰もが経験することだと言えます、多くの人が経験しているぶん対処法も多いものです、ショップの店員さんのアドバイスやネットでの情報を参考にしてみましょう。昔と違い今はネット上で欲しい情報がすぐに手に入る時代です、同じようにアクアリウムを楽しむアクアリストさんたちによる情報も膨大です、先人の知恵を拝借するつもりになって参考にしてみてください、ワンランク上も狙い易くなるはずです。
水草に初めて挑戦する人へのアドバイス
初心者だからこそ気楽に構えて楽しむというスタンスをおすすめします、ミリ単位で悩みながら配置を頑張ってみたり、失敗してはいけないと自分を追い込んでしまわないことです、疲れてしまったのでは長続きしませんし、何より楽しくありません。最低限の「してはいけないこと」を守りさえすればあとは気軽に実践するのみです、もし、失敗したとしても心配することはありません、再挑戦すれば良いのです、失敗の原因を分かっていれば次回からは同じ失敗は避けることができます、失敗も有意義であり決して無駄にはならないのです。その上で、どれかひとつに慣れたらもうひとつ先に自ら進んで新しい知識と経験を積んでください、そうしていれば初心者とはいえアクアリストとしての腕は上達するでしょう、そしてそのうち中級者となり上級者となるはずです。
水草の初心者のまとめ
水槽の中で揺らぐ水草は環境に左右される生命体です、それを育むべきは管理するアクアリストである人のなのです、そこで大切なものこそが基本知識、基本を忘れないというのはジャンルを問わず誰にでも共通して言える大切なことです、基本さえしっかりできていれば上手な応用だって可能になります。初心者のうちは種類も欲張らずに丈夫で育てやすい水草でアクアリウムの楽しさを味わってみましょう、楽しければ次のステップへの挑戦も楽しく挑めるものです。基本が身について新しい水草の種類を増やしてみたくなったり、育て方やレイアウトなどのどこかに改良点を発見したりできたなら、初心者としての腕もかなり上がってきた頃なのかも知れません。
水草の歴史
その昔、水草と言えば金魚とまるでセットのように思われていた”カボンバ”でしょう、実際に金魚を買うとおまけで付いてきたり、金魚の絵を描けば添え物のように描かれていたりしたものです。まだ見ぬ水草を遠い地域からという発想が無かったころの事なので水草といえばカボンバという図式はよく理解できます。また、人々のニーズもそれ以上のものではなかったので長らくカボンバ以外の水草は観賞用の商品としては脚光を浴びることはありませんでした。ここに新しい流れができたのは熱帯魚ブームであり無縁ではないはずです、1970年代前半や1980年代半ばなどの何度かやって来たブームの度に遠い産地の珍しい種類が紹介され愛好者が増えたのは間違いありません。
初心者におすすめの水草
おすすめの条件としてはなにより安価で丈夫なことに尽きます、照明が少々物足りなくても、水温の変化に強くて枯れたりせず、植え込みも簡単でしっかりと根を張り、急激に大きくなって景観を壊したりすることもなくゆっくりと成長する水草があります。それはサトイモ科の”アヌビアス・ナナ”、熱帯魚の入門書やネット上にある水草の情報でも初心者向けとして解説されている場合が多く、これであれば初心者でも失敗も少なく育て易いのでおすすめできます。注意点として、このアヌビアス・ナナに限らず水草全般に言えることなのですが稀に農薬や望まれぬ生き物(ヒドラやプラナリアやヒル)が付着している可能性がありますので流水で優しく丁寧にすすいでおきましょう。