ミキシング方法とは
ミキシングとは、楽曲を作成するにあたって、それぞれの楽器や音源の音量バランスや音質を調節することで曲を聴きやすい形にまとめあげることです。初心者が最初の楽曲をつくろうとしても、CDやTVで流れる音楽のように綺麗に聴こえることはほとんどありません。そんな音源を、誰が聞いても心地よく鑑賞できるレベルまで楽曲のクオリティを上られれば、自分の作った楽曲を多くの人に楽しんでもらうことができます。基本的な方法として、各トラックを適切な音量に調節、パンでどの位置に音を振るか決める、イコライザー(EQ)やコンプレッサー等で音質を整える、リバーブやディレイで音の空間を演出する、最後にマキシマイザーで全体の音量を大きくする、というのが大きな流れになります。
ミキシングを始める初心者の基本
ミキシングを始めるのに必要なプラグインやハードウェアを揃えることも重要ですが、一番大切なことはミックスする曲をどういった形に仕上げたいか、という具体的な目標を持つことです。例えば、好きなバンドのサウンドそっくりな仕上がりにしたい、あこがれのDJのような重低音の効いたサウンドにしたい、など曲の方向性を明らかにしておくことをおすすめします。かつては高価な音響機器やスタジオを持っていないとミキシングはできませんでしたが、現在では安価なマルチトラックレコーダーも市販されており、インターネットに繋がったPCがあれば、誰でもミキシング作業をするための環境を作ることができます。今ではフリーのDAWやプラグインも配布されており、手軽に始められるのも初心者にはありがたいです。
ミキシングの初心者が始める前に必要な基礎知識
音質を整えるにはいろいろな方法があります。EQ(イコライザー)は音の周波数を整えます。高音域が強調されてキンキン耳に痛い音でも、EQを使い耳につく帯域をピンポイントで削れば、元の音を損なうことなく、ミキシングできます。逆に、足りない音域をブーストすることもできます。コンプレッサーは大きすぎる音を圧縮することができます。あまりに音が大きすぎると歪んでしまい、せっかくの曲も台無しになってしまいます。コンプを使えば不要に大きい部分を圧縮することで適切な音量にすることができます。使い方を変えれば、小さすぎる音を大きくすることもでき、音量調整に便利な方法です。初心者には難しそうに思えますが、実際に使えばその便利さがわかると思います。
ミキシングを始める際に必要なもの
PC上でミキシングをするにはまずDAW(デジタルオーディオワークステーション)が必要です。DAWとは音楽を制作するための作業場だと考えてください。音源を録音したり、トラックを作成したり、音楽制作の土台となるソフトウェアです。初心者の方にはフリーで利用することができるReaperやStudioOnePrimeがおすすめです。いずれもインターネットで配布されていて入手する方法は簡単です。前もってインストールしておきましょう。曲を作るのに必要な音源も忘れてはいけません。DAWに付属している場合もありますが、フリーのプラグインも充実しているので、検索すればいろいろな音源を手に入れることができます。楽器を録音するならオーディオインターフェイスも必要です。
ミキシングの初心者が簡単に始める方法・手順
まずはDAWを起動しましょう。ファイルを作成し、楽器を録音していきます。バンドサウンドを作る場合、ドラム、ベース、ギター、ヴォーカル、さらにキーボードがあればいいでしょう。MIDI入力で一音一音打ち込んでいくことも可能ですが、楽器を持っているなら、オーディオインターフェイスを使って録音します。納得のいく音源が録れたら、ミキシング作業の開始です。まずはフェーダーと呼ばれる音量を調整するためのツマミを動かして、全体の音量バランスを探ります。それぞれのトラックの音量を変えてみて、これだ!と思うバランスになるまでいろいろな方法を試してみましょう。音の定位も重要です。全ての音が真ん中に集まってしまえばゴチャゴチャして聴こえづらく鳴ってしまいます。左右にパンして音の居場所を空ければスッキリと聴こえます。
ミキシングの初心者が上達するためのコツ
ミキシングにこれといった決まった方法はありません。DAW上で作業する方法だと、やり直しがきくので、失敗を恐れずにチャレンジすることが上達の基本です。EQやコンプレッサーの使い方はとても重要です。たくさんの楽器同時になる中で、特定の楽器を際立たせたい、もしくは馴染ませたい場合EQが必要になります。他の楽器と被らないように特定の帯域を持ち上げればその部分が目立って聴こえ、逆に目立つ部分をカットすれば他の音と馴染んで聴こえます。コンプレッサーは音をCDのように大きくするために必要です。音が大きすぎるトラックを圧縮し、それぞれのトラックの音量を上げることで、全体の音量が持ち上がり、音が破綻せずに大きく聴こえるようになります。
ミキシングに初めて挑戦する人へのアドバイス
初心者の人が初めてミキシングをやっても思ったとおりの音にならないことがほとんどだと思います。大切なのは失敗を恐れずにいろいろな方法を試してみることです。デジタル環境では作業のやり直しがいくらでもできるので、楽曲が思い通りにならなくても、以前の段階からやり直すことが簡単にでき、別の方法をたくさん試すことができます。こういう曲にしたいという目標を決めたら、いろいろなプラグインや音源を試して近い音を作れるように努力してみましょう。音源のプリセットを使うことも有効です。製作者が作った設定値なので簡単にカッコいい音に近づきます。プリセットを自分好みにカスタマイズすれば、基本となる使い方も理解できるのでおすすめです。あとはひたすら回数をこなせば間違いなくミキシングは上達していきます。
ミキシングの初心者のまとめ
基本的な方法として、まずはDAWを導入しましょう。無料で手に入るものもあるので検索してみるといいでしょう。基本的な音源やプラグインが同封されていることもあるので自分にあったものを探してみましょう。ひと通り録音を終えて大まかな曲の形が仕上がったらミキシング作業を始めます。自分の狙った音が出るように試行錯誤しましょう。楽器間の音量バランスをとったら、音を左右に振り分けましょう。ギターが2本ある場合、左右に振り分けると迫力が増し、ヴォーカルの音も被らずにすみます。次にイコライザーやコンプレッサーを使って音質に手を加えていきます。録音の段階で狙った音にならなくても、この作業で自分好みの音を探ることができます。最後にマスタートラックにマキシマイザーを入れて、音が割れない程度に音量を上げてみましょう。
ミキシングの歴史
ミキシングはレコードやCDといった音楽や音響機器の発達とともに進化してきました。初めは小規模で簡易なものでしたが、レコードも普及し、テレビやラジオで音楽を流すことが一般化されました。また、ロックミュージックで大規模なライブを行う場合、アンプだけでは十分な音を鳴らすことはできなくなりました。そこでより大きなスピーカーやミキサーを用いたPAシステムが発展していきました。現在のミキシング作業も元をたどれば音楽の発展と共にあり、そういった長い歴史があるということも少し覚えておくといいかもしれません。現在では基本的な環境があれば誰でもミキシングをすることが可能ですが、かつては初心者が手軽に始められるものではなく職人の世界だったことがわかります。
初心者におすすめのミキシング
インターネット上で無料で手に入るものも多く存在するのでまずは気になった音源やDAWを検索してみることをおすすめします。少しお金に余裕があれば製品版を手に入れることもおすすめです。無料版だと機能や内容に制限があることがほとんどですので気に入った製品があれば購入してみるのもよいでしょう。よりよい環境でミキシングするには質の高いオーディオインターフェイスやスピーカー、ヘッドフォンがあると便利です。細かい音まで探ることで、ミキシングの腕が上達します。また、音を打ち込むためのMIDIキーボードやMIDIコントローラーがあるとより一層作業がはかどります。必ずしも必要な機材とは言えませんがミキシングに慣れていくに連れて必要になるでしょう。